原子力発電のしくみ
原子炉で発生する熱で蒸気を作り、その蒸気でタービンを回して発電するのが原子力発電です。つまり、原子力発電所は、火力発電所のボイラーの部分を原子炉に置き換え、これに放射線や放射性物質を閉じこめるための施設を付け加えたものと考えることができます。
また、原子力発電で使われる燃料は、ウランを約1cmに焼き固めたもの(これをペレットと呼びます)を使用します。ペレットを丈夫な合金製の被覆管に密封したものが燃料棒です。この燃料棒を数十本束ね燃料集合体が組みあげられ、原子炉に装荷されます。
現在、日本で使われている商業用の原子炉には大きく分けると、「沸騰水型原子炉(BWR)」と「加圧水型原子炉(PWR)」の2種類がありますが、これらは軽水炉と呼びます。
設備上のBWRとPWRの大きな違いは、BWRでは原子炉の中で直接蒸気を発生させるのに対し、PWRでは炉内の圧力を高め冷却水が高温でも沸騰しないようにし、蒸気発生器を使って炉心を流れる水とは別の水に熱を伝え間接的に蒸気を発生させている点です。
東通原子力発電所では、BWR(東北電力1号機)とその改良型であるABWR(東北電力2号機・東京電力1・2号機)が採用されています。
火力発電と原子力発電の違い
出典:「原子力・エネルギー図面集2004-2005」 |
燃料集合体の構造
出典:資源エネルギー庁「原子力2010」 |
沸騰水型(BWR)原子力発電のしくみ
沸騰水型(BWR)は、原子炉の水(冷却水)をそのまま沸騰させて蒸気をつくり、その蒸気で直接タービンを回して発電します。タービンを回した後の蒸気は、復水器内で冷やされ、水となり再び原子炉に送られます。沸騰水型炉(BWR)原子力発電のしくみ
改良型沸騰水型(ABWR)原子力発電のしくみ
改良型沸騰水型(ABWR)は、従来型BWRを改良したもので、安全性・信頼性の向上を図り、同時に作業者が受ける放射線量や放射性廃棄物発生量の低減、運転性・操作性の向上が図られています。主な改良点は以下のとおりです。配管系統の単純化
原子炉圧力容器の外に設置されていた原子炉再循環ポンプを容器の中に設置したことにより、原子炉再循環ポンプ周りの配管がなくなり、配管系統が単純化されるため、より安全性が向上します。制御棒駆動システムの多様化
水圧駆動であったものに微調整可能な電動駆動を加え、制御棒駆動源を多様化したことにより、運動性・信頼性が向上します。耐震性の向上
原子炉再循環ポンプ周りの配管がなくなったことによって、原子炉圧力容器および原子炉格納容器の重心が低くなり、また、原子炉格納容器を鉄筋コンクリート製とし、原子炉建屋と一体化することによって、耐震性が向上します。改良型沸騰水型(ABWR)原子力発電のしくみ